THE SCENT OF ANATOMICA- EAU DE PARFUM
香りとクラフト

ANATOMICA にとって、衣服とは単なる流行ではありません。
長い年月を経ても残り続ける素材、構造、文化。
私たちはこれまで、ヴィンテージウェアやミリタリー、ワーク、テーラリング、そして靴作りを通して、その背景にある“文化”そのものを見つめてきました。
香りもまた、同じです。
それは単なるフレグランスではなく、時代や土地、空気、記憶を纏うもの。
ANATOMICA の香水は、それぞれが異なる文化や歴史へのオマージュとして生まれました。
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香りを纏う文化について


日本では長い間、“香水を強く纏うこと”に対して、どこか慎重な空気がありました。
香りを周囲へ広げすぎないこと。
清潔であること。
控えめであること。
そうした感覚は、日本独自の美意識として今も根付いています。
一方でヨーロッパでは、香水は単なる嗜好品ではなく、生活文化の一部として存在してきました。
例えば古い理髪店では、シェービング後にベイラムのローションを。
教会では乳香の煙が漂い、レザーやウッド、石造りの建築の匂いが日常に溶け込んでいました。
ネロリやシトラスのコロンは、衣服や肌を整える身だしなみとして扱われてきた歴史があります。
それは“強く香らせる”ためではなく、空気や所作を整えるための文化でもありました。
ANATOMICA が今回の香水で目指したものも、まさにそこにあります。
単にトレンドとしてのフレグランスではなく、
服や靴、レザーと同じように、その人の空気を完成させるもの。
ツイードジャケット、洗い込まれたシャツ、磨かれた革靴。
長く使い込まれた素材がそうであるように、香りもまた、過剰ではなく自然に馴染んでいくべきものだと考えています。
近年、日本でも少しずつ香水文化は変化し始めています。
“香水をつける”というより、“自分の空気を整える”感覚に近づいているのかもしれません。
日常的に香水を肌に付けられない方にも、ノベルティでお渡ししているパフュームタグに香水を一振りして、鞄やクローゼットに忍ばせる。
腰や足首に一振りして自分のためにほんのりと香りを纏う。
それだけでも充分なのです。
ANATOMICA の香水はその洋服と同じく、強く主張するためではなく、静かにその人の輪郭を作るためのものです。
以下が、ANATOMICAを構成する5つの香りです。
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PATCHOULI
土ではなく、“乾いた薬草”としてのパチョリ


1960〜70年代以降、パチョリはカウンターカルチャーの象徴として広く知られるようになりました。
しかし、本来のパチョリはもっと古く、ヨーロッパでは薬草や布の防虫香料として扱われていた歴史があります。
ANATOMICA の PATCHOULI は、その“古いヨーロッパの薬草感”に着目しました。
ローズマリー、ヨモギ、マジョラム。
そこにタバコ、レザー、ウードを重ねることで、単なる甘いパチョリではなく、乾いた空気感を持つクラシックな香りへと仕上げています。
それはまるで、古いツイードジャケットや、履き込まれたレザーシューズのような存在。
ANATOMICAを代表する1本。「THE ANATOMICA」といった香りです。
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L'ENCENS
煙ではなく、“静けさ”の香り


乳香(フランキンセンス)は、古代から宗教儀式に用いられてきた特別な香料です。
教会、祈り、煙。
インセンスの香りは、常に精神性と結びついてきました。
しかし ANATOMICA の L'ENCENS は、単なる重厚なインセンスではありません。
ベルガモットやペッパーによる乾いた透明感。
そこにウードやシダー、レザーが重なることで、煙よりも“木”を感じさせる静かな香りとなっています。
古い木造建築や、長く使われた家具。
時間を経た素材だけが持つ、静かな存在感を表現しています。
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BAY RHUM
バーバーショップ文化へのオマージュ


BAY RHUM の起源は、カリブ海にあります。
西インド諸島で使われていたベイツリーの葉に、ラムやスパイスを加えたローション。
それはやがて、アメリカやヨーロッパの理髪店文化と結びつき、“紳士の香り”として広まっていきました。
ANATOMICA の BAY RHUM は、このクラシックな香りを再構築しています。
クローブ、ナツメグ、ペッパーの温かみ。
そこへパチョリやインセンスを重ねることで、単なるヴィンテージ調では終わらない、ANATOMICAらしい陰影を加えました。
それは、古いバーバーチェアや、使い込まれたレザーのような香りです。
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ESPRIT de NEROLI
花だけではなく、“枝葉”まで香るネロリ


ネロリとは、ビターオレンジの花から採れる香料。
17世紀、ネロラ公妃アンナ・マリアが愛したことで、その名が広く知られるようになりました。
多くのネロリ香水は、爽やかさや清潔感を強調します。
しかし ANATOMICA の ESPRIT de NEROLI は、花だけではなく、葉や枝の青さまで表現しています。
ヴァーベナ、プチグレン、オレンジフラワー。
そこに柔らかなウッドとムスクが重なり、単なるシトラスコロンではない余韻を生み出しています。
色気を感じながらも重すぎない、絶妙なバランスの香りです。
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HINOKI KARAMUSHI
日本の木造文化を香りにする


ヒノキは、日本の寺院建築や家具、建具などに古くから使われてきた木材です。
しかし ANATOMICA の HINOKI KARAMUSHIは、現代的な“削りたてのクリーンなヒノキ”ではありません。
そこにあるのは、長い年月を経た木造建築の静けさ。
乾いた木、香木、そして苧麻(からむし・ちょま)のような繊維の質感です。
複数のシダーウッド、サンダルウッド、フランキンセンス、そしてケード。
幾層にも重なる木の香りによって、日本的な精神性を表現しています。
それは単なる“和”ではなく、ANATOMICA が見つめる日本文化そのものです。
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PERFUME AS PERMANENCE

今回ご紹介した5種類で、ANATOMICAを構成する香水はひとまず完成を迎えました。
服、靴、革、木、香り。
ANATOMICA が見つめているのは、常に“長く残るもの”です。
香水もまた、時代を越えて残り続ける文化の一部。
それぞれの香りには、素材だけではなく、その背景にある空気や歴史が込められています。
ANATOMICA の香水は、香りを纏うためだけのものではありません。
それは、文化を纏うためのフレグランスです。