ANATOMICA by SEBAGO — The Shape of Classic American Daily Life

ANATOMICA by SEBAGO — The Shape of Classic American Daily Life

ANATOMICASEBAGOに別注したローファーが523()より発売となります。

今回は、「なぜ今SEBAGOと別注をするのか」「なぜローファーなのか」といった所を中心に、

ANATOMICA by SEBAGOを少し掘り下げたい方々に向けていくつかの要素を簡単にピックアップしました。

 

とはいえ、掘り始めるとどこもかしこも深いもので、簡潔にしたつもりですが少しばかり長めになってしまいました。


1. What is a Loafer?

“Loafer” という名前は、英語の “Loaf” —
「気ままに過ごす」「怠ける」という言葉に由来すると言われており、1930年代頃から靴の名称として散見されるようになりました。

紐を結ばず、気軽に履ける革靴。

本来ローファーとは、フォーマルのために生まれた靴ではありませんでした。

 

起源には諸説ありますが、1930年代頃、ノルウェーの漁師たちが履いていたスリッポン型シューズをベースに、アメリカで現在のローファー文化が発展したと言われています。

(イギリスのカントリーハウス用スリッポン説もあり、この辺りがややこしくも面白いところです。)

その後、G.H. Bass “Weejuns” をはじめとするアメリカンローファーが誕生し、アイビーリーグの学生たちの日常靴として広がっていきました。

 

スーツだけではない。

デニム。
チノ。
軍パン。
スポーツコート。

 

少しラフな服装の中に、自然と革靴が存在していた時代。

ローファーとは本来、日常のための革靴だったのです。


2. American Daily Wear

1946年創業の SEBAGO

アメリカ・メイン州で生まれたこのブランドは、ハンドソーンモカシンをルーツに持つ、アメリカントラッドを語る上で欠かせない存在です。

 

東海岸の学生たち。
港町のボートデッキ。
週末にスポーツコートを羽織る大人たち。

 

SEBAGOの靴には、そんな195060年代アメリカの日常がありました。

実用品として生まれた靴が、やがてスタイルになっていく。

その流れは、ANATOMICAが長年魅力を感じ続けてきたアメリカ文化そのものでもあります。


3. Between Ivy and Harbor

ローファー文化を語る上で興味深いのは、
それが単一のスタイルから生まれたものではない、という点です。

 

195060年代のアメリカ東海岸では、
二つの異なる文化が、自然に混ざり合っていました。

 

ひとつは、Ivy League に象徴される学生文化。

Harvard Yale の学生たちが、
チノやスポーツコートにローファーを合わせる、都会的で知的なスタイルです。

 

そしてもうひとつが、ニューイングランド沿岸に根付く Harbor Culture

港町。
セーリング。
マリーナ。
ボートデッキ。

そこでは、より実用的で、気軽に履ける靴が求められていました。

 

SEBAGOが生まれたメイン州もまた、そうした港町文化を色濃く残す土地です。

ハンドソーンモカシン。
柔らかなレザー。
ボートシューズの流れを汲む履き心地。

SEBAGOの靴には、単なる学生靴ではない、道具としての空気が存在しています。

 

本来、この二つの文化は全く別のものだったわけではありません。

東海岸の学生たちは、週末には港へ向かい、
ボートや別荘文化の中で時間を過ごしていました。

都会と港町。
学生文化と実用品文化。

ローファーとは、その二つの境界を自然に行き来していた靴だったのです。

 

G.H. Bass “Weejuns”から広まったアイビー文化の文脈としてのものと、

ハーバーやボートシューズ文化として広まったものとが融合して、成熟したのがアメリカのローファー文化だと言えそうです。

 

だからこそSEBAGOのローファーは、
デニムや軍パンにも自然に馴染む。

過度にドレスへ寄りすぎず、
それでいて品を失わない。

曖昧で美しい中間にある魅力です。


    4. Pierre Fournier and SEBAGO

    ANATOMICAのデザイナー Pierre Fournier にとって、SEBAGOは単なるクラシックシューズブランドではありません。

    ANATOMICA以前、Pierreはパリで “GLOBE” 、そして “HEMISPHERES” を運営していました。

    当時のヨーロッパではまだ、アメリカの衣服文化をここまで深く扱う店は多くありませんでした。

     

    「ミリタリー」「ワークウェア」「アイビーリーグ」「アウトドア」。

    Pierreは、それらを単なるヴィンテージとしてではなく、完成された日常着として見ていたのです。

    そして、そのスタイルに自然と馴染んでいた革靴が、SEBAGOでした。

    今回ANATOMICAが復刻した “BENO LAST” は、まさにその当時Pierre自身が扱っていたSEBAGOに使われていた木型。

    つまりこの別注は、過去のアーカイブを参考にしただけのプロダクトではありません。

    Pierre自身が本当に履き、見て、良いと感じていた時代のSEBAGOを、現代にもう一度繋ぎ直す試みなのです。


    5. The Shape of Balance

    現代のローファーには、シャープでドレス寄りな木型が多く見られます。

    それに対して、今回別注したBENO LASTは異なります。

     

    少し丸みを帯びたノーズ。
    程よいボリューム。
    必要以上に細くないシルエット。

    革靴でありながら、どこか柔らかい。

    この絶妙なバランスこそ、Pierreが当時惹かれた理由でもありました。

     

    デニムにも合う。
    軍パンにも合う。
    フランネルトラウザーにも自然に馴染む。

    綺麗すぎない

    しかし、決して粗野にはならない。

    ANATOMICAが長年提案してきたスタイルもまた、この曖昧で美しい中間にあります。


    6. Why Now?

    現代では、革靴そのものを履く機会が少なくなりました。

     

    スニーカーはより軽く、より合理的になり、
    革靴は逆に、過度にドレス化していく。

    その中で、日常靴としてのローファーという存在は、少しずつ失われつつあります。

    だからこそ今、ANATOMICAはこのSEBAGOの別注ローファーを作りました。

     

    気軽に履けること。
    歩けること。
    デニムやミリタリーパンツにも自然に馴染むこと。

    本来ローファーが持っていたはずの役割を、もう一度現代の日常に戻したかったのです。

     

    アナトミカの掲げるクラシックとは、過去をただ再現することではありません。

    今の生活の中で、もう一度自然に機能し、「継承」できること。

    ANATOMICA by SEBAGO は、そういう考え方から生まれています。


    7. Handsewn Moccasin

    Sebagoが長年作り続けてきた、ハンドソーンモカシン。

    一足一足、職人の手によって立体的に縫い上げられるこの製法は、単なる装飾ではありません。

    履き心地そのものを形作る構造です。

    今回採用したのは、柔らかな “MOC SOFT LEATHER”

    強い光沢を持つガラスレザーとは異なり、履き込むことで自然な艶が現れ、足に沿うように馴染んでいきます。

    軽さ。
    柔らかさ。
    そして歩きやすさ。

    本来、アメリカの日常靴とはそういうものでした。

     

    過度にドレスアップするためではなく、毎日自然に履かれるための革靴。

    Sebagoのローファーには、その思想が今も残っています。


    8. The Final Say

    ANATOMICAは、ヴィンテージを過去のものとして扱いません。

    本当に良いものは、時代を越えて自然に残り続ける。

     

    Pierreが惹かれたSebago
    その空気を纏ったBENO LAST
    そして現代のバランスで再構築された一足。

     

    ANATOMICA by SEBAGO は、流行として消費されるローファーではありません。

    10年後、20年後も、ワードローブの中に自然と残っていくもの。

    良い道具のように、日常の中でゆっくりと育っていく一足です。

    基本的な情報から少し掘り下げた所まで、今回も長々と語りましたが、知識がなくとも

    ANATOMICAネームのローファーは久しぶり、どんなもんじゃい!」

    ぐらいの感覚でもまずは実際に履いてみて下さい。

    ここで書かれている以上に、物が雄弁に語ってくれると思います。


    Available at

    ANATOMICA TOKYO FLAGSHIP STORE

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